- 2026年9月30日
- 2026年9月28日
高松の内視鏡専門医が大腸がんについて徹底解説!
大腸がんとは
大腸がんとは、大腸(結腸・直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。
多くは「腺腫」と呼ばれるポリープから徐々に時間をかけてがん化したものです。
盲腸から直腸までのどこにでも発生しますが、S状結腸や直腸に多い傾向があります。
粘膜内で発生し、進行すると大腸の壁の深くへ、さらにリンパ節や肝臓・肺などへ転移していきます。
罹患数・死亡数ともに日本人のがんの中で上位に位置し、非常に頻度の高いがんの一つであり、日本人にとってきわめて身近な病気と言えます。
大腸がんの症状
大腸がんは、初期にはほぼ無症状です。
「症状が出た時点ではすでに進行している」と言われるのは、大腸の内腔は比較的広く、初期のがんは症状を出しにくいため、症状が出る頃にはある程度進行していることが多いからです。
大腸がんが進行すると次のような症状が現れます。
・血便
・便通異常(下痢と便秘を繰り返す)
・便が細くなる
・腹痛
・貧血
・原因不明の体重減少
がんの発生する場所(右側・左側・直腸)によって、現れる症状には次のような違いがあります。
・右側(盲腸・上行結腸)
口に近く、便がまだ液状のため詰まりにくく、貧血で見つかることが多いです。
・左側(下行結腸・S状結腸、直腸)
おしりに近く、便が固形化しているため、便が細くなる、血が混ざる、といった症状が出やすい傾向があります。
「排便後にペーパーで拭いたら血がついていた」という症状は痔でも多く見られますが、「ただの痔」と自己判断するのは危険です。
見ただけでは、どんなに優秀な専門医であっても、それががんでなく痔から出た出血であるとは証明できません。
出血がある場合は、一度は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で確認することが最も確実です。
排便と無関係に出血する、便に血が混ざる場合はさらに注意が必要です。
また、20~30代の若い世代でも大腸がんになることがあり、近年は若年層での増加も指摘されています。
血便、便通異常が続く、原因不明の貧血などがある場合は、年齢にかかわらず消化器専門医の受診を検討すべきです。
大腸がんは40代から発症リスクが高まる
大腸がんの罹患率は40代から明確に上昇し始め、50代以降さらに増加します。そのため、40歳を過ぎたら症状の有無にかかわらず定期的な検査(便潜血検査、可能であれば大腸カメラ)を受けることが勧められます。
バリバリ仕事をされて時間がなかったり、家族がいて家事や介護が大変な40代の方は、特に自分に使う時間やお金が後回しになりがちです。
しかし、そういう方こそ、ぜひご自身の健康を大事にしていただきたいと考えています。
特に大腸がんは早期発見すれば短期間の治療で治る可能性が非常に高い病気です。
「面倒だな」と思うかもしれませんが、短時間・短期間で終わるうちに検査や治療を済ませておくことで、結果的に大切な時間もお金も守ることができます。
ご自身への先行投資と考え、「症状がないから大丈夫」ではなく、症状が出る前に検査を受けるようにしましょう。
大腸がんの検査
健康診断の「便潜血検査(2日法)」は、自覚症状のない段階でがんやポリープからのわずかな出血を検出し、精密検査(大腸カメラ)につなげるためのスクリーニング検査です。
しかし、「1日だけ陽性だったから」「ずっと陰性だから大丈夫」と過信してはいけません。
がんやポリープは常に出血しているとは限らず、出血のタイミングによって陽性・陰性が入れ替わることがあります。
陰性が続いていても安心材料にはならず、1回でも陽性が出た場合は必ず精密検査を受けることが重要です。
便潜血検査で「陽性」となった方の中で、実際にがんが見つかる割合は数%程度ですが、進行したポリープやがんを見逃さないために、陽性が出た場合は速やかに大腸カメラを受けることが強く勧められます。
大腸がんの有無は大腸カメラ検査で
大腸がんの有無をミリ単位で正確に確認できる検査は大腸カメラだけです。
CTや便潜微検査(便潜血検査)とは異なり、大腸カメラは大腸の粘膜を直接、拡大して観察でき、小さな病変も見つけて組織を採取(生検)できる唯一の検査だからです。
「痛そう、下剤がつらい」と不安に感じる患者さんの負担を減らすため、医療機関では以下のような様々な工夫を行っています。
・鎮静剤を使用して眠っている間に検査を終える
・お腹の張りを軽減する炭酸ガス送気を使用する
・熟練の消化器内視鏡専門医による挿入テクニックを用いることで、苦痛を大きく減らす
一般的な大腸カメラ検査の事前制限と当日の流れは以下の通りです。
1,前日
消化の良い食事を心がけ、眠る前に指定された錠剤の下剤を服用します。
2,当日の朝
朝から液体の下剤を内服して腸内をきれいにします。
下剤の内服場所は、院内の専用個室か自宅を選ぶことができます。
3,当日の検査時
腸内がきれいになったことが確認できたら、院内で準備している検査着に着替え、検査を行います[12]。ご希望があれば鎮静薬を使用できます[12]。
4,検査終了後
しばらく休息をとってから帰宅できますが、鎮静薬を使用した場合は運転ができませんので、公共交通機関の使用や送迎が必要となります。
何らかの症状(便潜血陽性や腹痛など)の精査のために行われる大腸カメラ検査や治療は、基本的に保険適用となります。
ごくまれに無症状で自費で大腸カメラを希望される場合もありますが、もし検査中にポリープが見つかり、その場で切除(日帰り手術)となった場合は、その切除治療は保険適用となります。
大腸がんの治療
大腸がんの治療法の選択肢は、
・早期であれば内視鏡的切除
・進行度に応じて外科手術
・抗がん剤治療(化学療法)
・放射線治療
などを単独または組み合わせて行われることが多いです。
早期がんと進行がんで治療 of 負担・治癒率には以下のような大きな差があり、早期発見が予後を大きく左右します。
・早期がん
内視鏡治療のみで根治し、5年生存率もほぼ100%に近いです。
・進行がん
手術や抗がん剤治療が必要となり、生存率も進行度に応じて低下します。
大腸がんの発症に関わるリスク要因
大腸がんの発症リスクを高める要因には、生活習慣と家族歴があります。
・生活習慣のリスク要因
赤身肉・加工肉の摂り過ぎ、食物繊維不足、過度な飲酒、喫煙、運動不足、肥満などが挙げられます
・家族歴(遺伝的要素)のリスク要因
血縁者(特に親・兄弟姉妹)に大腸がんの既往がある場合、そうでない人に比べてリスクが高くなることが分かっています。
家族歴がある方は、より早い年齢からの検査開始が推奨されます。
大腸ポリープのがん化リスク
大腸にできるポリープの中で、「腺腫」と呼ばれるタイプのポリープは将来がん化する可能性を持っています。
この腺腫は、大きさが大きいほど、また表面の形状によってがん化のリスクが高くなります。
内視鏡検査中にポリープ(腺腫)が見つかった場合、その場での日帰り切除を行うことには以下のようなメリットがあります。
・がん化する前の段階で芽を摘み取ることができる。
・再度の検査や処置を行う手間やコストを省くことができる。
適切な設備・技術のもとで行えば安全性の高い処置ですが、すべてのポリープを当日その場で切除できるわけではありません。
ポリープのサイズや個数、形状によっては、安易に切除することが危険な場合があり、そうした場合には改めて後日入院治療が必要な高度医療機関へ紹介されることがあります。
また、一度ポリープを切除すればその部分からの再発リスクは下がりますが、大腸の別の場所に新たなポリープができる可能性はあります。
そのため、ポリープの種類や大きさに応じて、通常 1〜3年ごとの定期的な大腸カメラによる経過観察が推奨されます。
大腸がんの予防
大腸がんの予防には、発病を防ぐ「一次予防」と、命を落とさないための「二次予防」があります。
一次予防(発病を防ぐ工夫)
・食物繊維を多く摂る
・赤身肉・加工肉を摂り過ぎない
・禁煙
・節酒
・適度な運動
・適正体重の維持
二次予防(最大の予防策)
・定期的な大腸カメラ検査による早期発見・早期治療
ポリープ(腺腫)の段階で切除してしまえば、がんになる前に確実に防ぐことができます。
よくある質問
Q. 便潜血検査で「陽性」。がんである確率は?すぐに大腸カメラを受けるべき?
A. 陽性の方の中でがんが見つかる割合は数%程度ですが、進行したポリープやがんを見逃さないために、陽性が出た場合は速やかに大腸カメラを受けることが強く勧められます。
Q. 大腸カメラ・ポリープ切除の費用は保険適用?
A. 何らかの症状があって大腸カメラを行った場合の検査や治療は保険適用です。
当院では何らかの症状(便潜血陽性や腹痛など)の精査のために大腸カメラを受けられる方がほとんどなので、ほとんどの方が保険適用です。
ごくまれに無症状で大腸検査を自費でご希望の患者様もおられますが、もし検査中にポリープなどが見つかり、ポリープの切除となった場合はポリープ切除は保険適用となります。(外国の方などで日本の健康保険などに加入していない場合は自費になります)
Q. 前日の食事制限・当日の流れは?
A. 前日は消化の良い食事を心がけ、眠前に指定された錠剤の下剤を服用してください。
当日は朝から液体の下剤を内服して腸内をきれいにしていただきます。※当日の下剤の内服場所は院内の専用個室かご自宅をお選びいただけます。
腸内がきれいになったことが確認出来たら院内で準備している検査着に着替えていただき検査開始です。
検査中にご希望があれば鎮静薬を使用できます。
終了後はしばらく休息をとってから帰宅できますが、鎮静薬を使用した場合は運転できませんので公共交通機関のご使用や送迎をしてもらってください。
(具体的な時間・内容はクリニックへの事前受診時にお伝えします)。
Q. 20~30代でも大腸がんになる?若い世代が気をつける症状は?
A. 若年でも発症することはあり、近年は若年層での増加も指摘されています。
またがん以外の病気が隠れている可能性もありますので血便、便通異常が続く、原因不明の貧血などがあれば年齢にかかわらず消化器専門医の受診を検討すべきです。
Q. ポリープを一度切除したら、もう大腸がんの心配はない?その後の検査頻度は?
A. 切除した部分からの再発リスクは下がりますが、大腸の別の場所に新たなポリープができる可能性はあるため、経過観察は必要です。
ポリープの種類・大きさに応じて、通常1~3年ごとの経過観察の大腸カメラが推奨されます。