大腸カメラ
大腸カメラ検査について
大腸カメラ検査は、下部消化管内視鏡検査とも呼ばれるもので、肛門から専用のビデオスコープカメラを挿入し、直腸から盲腸に至る大腸全体を目視によって観察し、検査するものです。胃カメラ同様、鮮明な画像により腸の内壁を確認することができ、炎症や潰瘍、ポリープ、腫瘍の状態(悪性か良性か等)の判断に、非常に役立ちます。
とくに大腸がんは、初期には自覚症状が少ないため、大腸カメラ検査を行うことが重要です。近年の統計において、日本では死亡数の多いがんの部位で、癌でなくなる方の内、大腸がんは女性が1位、男性が3位となっており、特に女性に多いがんとなっています。
一方、大腸カメラは小さなポリープや初期の大腸がんを切除できるのも大きな特徴です。大腸のポリープには自覚症状はありませんが、その後がん化するものも少なくなく、良性のうちに切除しておくことで大腸がんの発症を抑制することにつながります。つまり大腸がんは、予防できる癌とも言えるのです。小さな病変の場合は、検査時に同時に切除してしまうこともあります。
当院では、日本消化器内視鏡学会が認定する消化器内視鏡専門医であり、同学会の大腸内視鏡スクリーニング認定医でもある院長が検査を担当します。また鎮静剤を使用して、苦痛を軽減して行う検査も可能です。
大腸カメラ検査の費用
検査内容 | 3割負担の場合 |
---|---|
検査のみ | 約5,000円~6,000円 |
生検(細胞の検査)をした場合 | 約9,000円~15,000円 |
ポリープ切除手術をした場合(日帰り手術) | 約20,000円~30,000円 |
上記は3割負担の方の目安です。1割負担の方は3分の1になります。
組織検査、ポリープ切除手術の費用は、調べる場所・個数により変わります。
以下のような疾患では、大腸カメラでの検査・診断が有効です
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 大腸腺腫
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 大腸憩室症
- 虚血性腸炎
- 虚血性腸炎
- 出血性腸炎
- 過敏性腸症候群
- 痔 など
以下のような症状が続く場合、大腸カメラによる検査をお勧めすることがあります。
- 便潜血反応で「陽性」との診断を受けた
- 便に血が混じっていた
- 便が細い、便が出切らない
- 便秘や下痢などの便通異常の症状続いている
- 腹痛、腹部膨満感がある
- 貧血ぎみである
- よく顔色が悪いと言われる
- 肉食中心の食生活をしている
- 急激な体重減少があった
- 血縁関係の方で大腸がんにかかった人がいる
- 大腸ポリープや大腸がんを治療した経験がある など
大腸カメラ検査の流れとご注意いただくこと
検査前日までのご注意点
- 検査予定日の3日前から消化のよい食事を心がけ、タケノコやトウモロコシなど繊維の硬いもの、ゴマやトマトなど粒状のもの、わかめやヒジキなどの海藻類、シイタケやエノキなどのキノコ類といった食べ物をなるべく避け、水分を多めにとるようにしてください。
- 検査食を指示された方は検査予約時に検査食を購入していただきます。検査前日は検査食を摂るようにしてください。(検査食以外の食事はとらないでください。お水、お茶などは飲んで構いません)
- 検査予約時にお渡しする下剤を就寝前に内服してください。
- アルコールはなるべく控えるようにしてください。
検査当日のご注意点
- 朝食は摂らないようにしてください。お水、お茶などは無糖のものでしたら飲んで構いません。
- 朝、下剤を飲んでいただき、その後、水またはお茶を飲んで(ただし無糖のもの)、排便し、腸内をきれいな状態にしていただきます。
- 抗凝固薬や抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)を内服している方は、検査予約時にお知らせください。また糖尿病で血糖降下薬の内服や、インスリンの皮下注射をされている方は、当日は内服、注射をしないようにします。詳しくは医師の指示に従ってください。
大腸カメラ検査の流れ
1.準備し、検査台に横になっていただきます
前処置室における事前の準備が調ったら、検査衣に着替えて、検査台に横になっていただきます。※鎮静剤を用いる場合は、ここで投与いたします。
2.検査を開始します
内視鏡を肛門から挿入し、検査を行います。検査中は体の向きを変えたり、お腹を押さえたりすることがあります。また空気などを送り込んで腸管を膨らませることもあります。
3.腸管内部を観察
内視鏡によって撮影された映像はモニタを通して医師が確認し、結腸や直腸などの内腔に病変がないかを調べます。
4.生検およびポリープ切除
疑わしい組織があった場合は内視鏡で一部を採取し、顕微鏡で詳細を調べていきます(生検)。またポリープが確認され、切除可能な場合は切除します。
5.検査終了
大腸の内腔を一通り観察すれば検査は終了です。検査時間は組織採取やポリープ切除を行わない場合は、15~30分程度です。
セデーション(鎮静剤)による検査を受けた方のご注意点
鎮静剤を使用した方は、1時間ほど院内にて休息していただきます。車やバイクを運転することは危険ですので(場合によっては自転車も)、公共交通機関をご利用になるか、ご家族が運転する車での送迎などをお願いいたします。
日帰りポリープ手術について
大腸ポリープの多くは腺腫性ポリープで、その約8割は良性とされていますが、胃のポリープに比べて癌化するリスクが高くなっています。そのため当院では、大腸カメラ検査によりポリープが発見された場合、サイズによってはその場で切除することを推奨しています。再度検査を受け直したり、入院をしていただいたりすることなく、その日の内に、検査からポリープ切除までを完了させることができます。サイズの大きなポリープについては高度医療機関での切除をおすすめしているため、そちらに紹介させていただきます。
切除方法としては、コールドポリペクトミーとEMRがあります。コールドポリペクトミーは内視鏡の中から通したスネアという輪をポリープにひっかけ、その輪を絞めて切除するものでサイズが小さく平坦なポリープに対して行います。EMRは、サイズが比較的大きなものや全体的に盛り上がっているタイプのポリープに対する切除方法です。まず組織の下に生理食塩水を注入して下から底上げし、あとはポリペクトミーと同様にスネアをかけ、高周波の電流を流し、焼き切って切除します。
大腸カメラ検査後およびポリープ切除後のご注意点
- 検査後の飲食は、観察のみであれば普通に摂っていただいてかまいません。
- 病理検査、ポリープ切除をした場合、当日は飲酒や刺激物の食品は控えるようにしてください。
- ポリープを切除した場合は、出血する可能性がありますので、手術後1週間は注意し、安静にするようにしてください。
- ポリープ切除を行った場合は、食事、飲酒、入浴、運動、旅行(出張等含む)について制限があります。ご予定がある場合は、治療日を調整する場合があります。生活上の制限は場合によっては2週間程になることもあります。
詳しくは医師またはスタッフからご説明させていただきます。
下剤を飲まない大腸カメラ
大腸カメラを希望される方で、
- 過去に飲んだ下剤の味が苦手で飲めなかった、気分不良になったことがある
- 過去に飲んだ下剤の量が多すぎて飲みきれず嘔吐したことがある
- 多量の水分(2Lほど)を飲むことができない
以前に受けた大腸カメラで上記のようなことがあり、検査を受けるのに不安がある方もおられるのではないでしょうか。 安全で見落としのない大腸カメラ検査を受けるうえで「下剤」の服用は必須ですが、当院では、下剤服用に不安がある方に向けて「鼻チューブ法」を採用し下剤を飲まずに受けられる大腸カメラ検査を実施しております。 鼻チューブ法とは、鼻からチューブを挿入して下剤を胃まで注入する方法です。
検査費用とは別で材料費の負担が必要になること、安全性を考慮して過去5年間に大腸カメラを受けたことがある方、強固な便秘がない方に対象患者様を限定させていただきます。
大腸がんの治療には早期発見が鍵となるため、過去のつらかったご経験をもとに検査をためらわれている方は一度ご相談ください。