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生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病

当院では急性の疾患だけでなく慢性疾患についても診療を行っています。その代表的なものは生活習慣病とよばれるもので、糖尿病や高血圧、高脂血症(脂質異常症)、高尿酸血症(痛風)などが知られています。これらは好ましくない生活習慣が主な原因となって引き起こされると考えられています。このほか喫煙習慣が原因と考えられる慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がん、過度な飲酒による肝硬変なども、生活習慣病と言うことができます。

生活習慣病に関しては、長期にわたって食生活や睡眠、運動などの生活面をコントロールしながら治療を進めていくことが重要になります。当院では患者さま一人ひとりのライフスタイルに即し、患者さまに寄り添った生活習慣改善のサポートおよび適切な投薬などによる治療を行うことで、症状の改善、合併症のリスクの回避を図っていきます。

主な生活習慣病

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中に糖(ブドウ糖)があふれて糖の濃度(血糖値)が慢性的に上昇してしまう病気です。 日本糖尿病学会のガイドラインでは、以下のようなフローチャートで糖尿病を診断しています。

HbA1c 1)、空腹時血糖値 2)、随時血糖値 3)、75gOGTT値 4)のいずれかが基準値を超えている場合を「糖尿病型」といい、空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかとHbA1c値の両方が糖尿病型である場合は1回の検査で「糖尿病」と診断されます。

HbA1cが糖尿病型でなくても、血糖値が糖尿病型の場合は別の日に再検査をします。 そこでも血糖値が糖尿病型であれば糖尿病と診断されます。HbA1cの結果のみの糖尿病型の場合は、血糖検査を含め再検査が必要です。

糖尿病型

フローチャート

注)糖尿病が疑われる場合は、血糖値と同時にHbA1cを測定する。同日に血糖値とHbA1cが糖尿病型を示した場合には、初回検査だけで糖尿病と診断する。

1)過去1〜2ヶ月の血糖の状態を示す値
2)検査当日の朝食を取らず空腹状態で採血したときの血糖値
3)食事の時間と関係なく採血したときの血糖値
4)75gのブドウ糖水などを飲んだあと2時間後に採血したときの血糖値

日本糖尿病学会糖尿病診断基準に関する調査検討委員会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版),糖尿病55:494, 2012より一部改変

原因

糖尿病は原因によって1型と2型に分類され、生活習慣病とされるのは2型糖尿病です。1型糖尿病に関しては、遺伝的要因やウイルス感染による自己免疫疾患などで、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されなくなることが原因と考えられています。一方、2型糖尿病は、生活習慣に起因する内臓脂肪型肥満などが原因となり、インスリンの分泌が減少したり働きが弱まったりすることで発症するとされています。

膵臓から分泌されるインスリンというホルモンは、体に糖を取り込むために重要な働きを果たすホルモンです。血糖値は食事をすることによって上昇しますが、インスリンの作用によってブドウ糖が細胞に取り込まれ、細胞が活動するエネルギーとなることで、再び血液中のバランスがとれた状態に戻ります。

2型糖尿病では、不規則な食事、過食、運動不足、喫煙、過剰な飲酒、ストレスなど好ましくない生活習慣によって、膵臓が疲弊しインスリンの分泌量が低下します。また、内臓脂肪型肥満により、インスリンがあっても細胞が糖を効率よく取り込めなくなってしまうと糖尿病となります。

症状

糖尿病当初には自覚症状はほとんどありませんが、血糖値が高い状態が続くと過剰な糖がタンパク質と結びつき、有害物質を発生させ、血管を老化させて傷つけてしまいます。それにより全身の大小の血管に障害を及ぼし、様々な合併症が引き起こされてしまいます。

大きな血管では高血圧同様、動脈硬化が促進され、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞さらには末梢動脈疾患、足病変などを引き起こします。微細な血管の障害では、とくに「糖尿病の三大合併症」と呼ばれる症状が現れます。失明の危険性が高い「糖尿病網膜症」、重症化すると人工透析が必要となる場合もある「糖尿病腎症」、皮膚感覚や胃腸運動、心臓、四肢、顔面等の全身に異常をきたしてしまう「糖尿病神経障害」の3つです。

治療

糖尿病の治療では、食生活や運動などの生活習慣の改善が基本です。過食や偏食、過剰な飲酒、間食、夜食などに注意し、栄養バランスの取れた食生活を心がけるようにします。また内臓脂肪型肥満を解消し、インスリンが効きやすいとされる筋肉体質とするために、ウォーキングや体操、筋肉トレーニングなどの運動習慣を付けていくことも重要になります。当院では、患者さまそれぞれの年齢や健康状態、生活スタイルに合わせながら、食事療法や運動療法に関しアドバイスを行っていきます。

食事療法や運動療法などによる生活習慣の改善だけでは血糖値が十分にコントロールできず、合併症の危険がある場合は、経口血糖降下薬などによる薬物療法を並行して行います。経口血糖降下薬でも血糖値が下がらない場合は、インスリン自己注射を行うことになります。

高血圧

高血圧とは

高血圧とは、心臓から送り出された血液による動脈の内壁を押す力が基準よりも高い状態を指します。血圧の正常値は、家庭血圧で115/75mmHg以下、診察時血圧では120/80mmHg以下とされています。高血圧の基準値は家庭血圧で135/85mmHg以上、診察時血圧では140/90mmHg以上とされていますが、正常血圧と高血圧の間の方も将来的に高血圧になりやすいとも言われているため注意が必要です。

原因

高血圧は、腎臓や甲状腺の病気など他の疾患が原因となり血圧をコントロールするホルモンバランスが崩れることで発症する場合もありますが、高血圧の患者さま全体の約9割は生活習慣が原因で発症するものとされています。

原因となる生活習慣としては、まず食事での塩分の摂り過ぎが挙げられます。塩分は水分を引き付ける作用があり、摂り過ぎると血流量が増加することで血圧が上昇します。その他、過食や過剰な飲酒、喫煙、精神的なストレス、自律神経の異常なども血圧を上げる要因となります。さらに野菜や果物(カリウム等のミネラル)不足、運動不足なども関わっていると考えられています。

症状

高血圧は、初期の段階では自覚症状が無いことがほとんどです(かなり血圧が高い状態ですと、頭痛やめまい、肩こりなどの症状が出る場合があります)。ただし自覚症状が無いことで高血圧を放置していると、動脈硬化という危険な合併症を引き起こしてしまいます。

動脈硬化は、高血圧が慢性的に続くことにより、それに耐えるために血管の壁が次第に厚く硬くなり、内径が狭くなった状態を指します。動脈硬化になると、血管の弾力が失われ、キズができやすくなります。キズには血液中のコレステロールなどのプラーク(垢)が付着しやすく、血管の狭窄を促進し、さらに血圧が上がってしまいます。

動脈硬化は全身の様々な血管で進行し、さらに様々な合併症を引き起こします。心臓の冠動脈が狭窄すると狭心症や心筋梗塞を引き起こし、脳の血管が狭窄すると脳梗塞や脳出血の原因となります。そのほか腎臓の動脈で動脈硬化が起こると、腎硬化症を発症し腎機能が低下してしまう場合もあります。

治療

高血圧症の治療としては、塩分のコントロールを中心とした食生活の改善が基本となります。まず心がけるのが減塩です。目安としては、1日の塩分量を6g未満にすることが推奨されています。また運動は血管を広げて血行をよくするので血圧を下げます。ただし医師の指導のもと、無理をせず、ウォーキングなど適度な運動から始めることが大切です。このほか過度の飲酒は控え、禁煙することを強くお勧めします。さらに生活のリズムを整え、質のいい睡眠をとることも重要です。

生活習慣を見直しても血圧がコントロールできないと医師が判断した場合、併せて薬(降圧薬)による治療も行います。降圧薬には様々な種類があります。血管を広げて血圧を下げる「カルシウム拮抗薬」、血圧を上げる物質の作用を抑える「ACE阻害薬」、尿からの塩分排出を促す「利尿薬」、血管を広げ心臓から送り出される血液の量を抑える「β遮断薬」などがあり、患者さまそれぞれの症状や体の状況に応じて処方していきます。

また、高血圧の診断と治療では自宅で測る家庭血圧が大きな役割を果たすと言われています。ぜひご家庭での血圧を測定し、ノートに記録したものを診察時にお持ちください。

高脂血症(脂質異常症)

高脂血症(脂質異常症)とは

高脂血症(脂質異常症)とは、食べ過ぎや動物性脂肪の摂り過ぎなど偏った食生活、および運動不足などにより、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の濃度が、基準値を超えて高い状態です。HDL(善玉)コレステロールが低い状態も異常であるため、現在は脂質異常症と呼ばれています。コレステロールは細胞の膜やホルモンの材料になるもので、中性脂肪(トリグリセライド)は重要なエネルギー源になりますが、過剰に摂取すると消費しきれず、皮下や内臓周辺、肝臓や血中に蓄えられ、肥満を招きます。

高脂血症(脂質異常症)には3つの種類があり、診断の基準は以下のようになります。

高LDLコレステロール血症 LDL(悪玉)コレステロール値≧140mg/dL
高トリグリセライド血症 中性脂肪≧150mg/dL
低HDLコレステロール血症 HDL(善玉)コレステロール値<40mg/dL

※LDL(悪玉)コレステロールは、体の隅々までコレステロールが運ぶ働きをします。
※HDL(善玉)コレステロールは、体に余ったコレステロールを回収する働きをします。

原因

高脂血症(脂質異常症)の原因の多くは食習慣にあります。たとえば高LDLコレステロール血症では、動物性脂肪の多い食品(肉類、乳製品など)や、コレステロールを多く含む食品(鶏卵、魚卵、レバーなど)を摂り過ぎることで発症のリスクが高まります。また食べ過ぎよる慢性的なカロリー過多も原因のひとつとなります。

高トリグリセライド血症は、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎ、また甘いものや脂身の多い肉など、高カロリー食品の摂り過ぎによる慢性的なカロリー過多が主な原因です。とくに過度なアルコール摂取は中性脂肪を増やしやすいとされています。また低HDLコレステロール血症は、運動不足、肥満、喫煙などが原因として指摘されています。

このほか、家族など近親者に高脂血症(脂質異常症)の人が多い場合、まれに遺伝的要因の「家族性コレステロール血症」が疑われることがあります。この場合は動脈硬化への進行が速いとされており、速やかに医療機関を受診することが重要です。

症状

高脂血症(脂質異常症)自体には基本的に自覚症状はありません。多くの場合、健康診断などの検査で発見されますが、症状が無いこともあって、放置されることが少なくないようです。

脂質異常の状態をそのままにしてしまうと、血中にあふれてしまった悪玉コレステロールなどが血管の内壁に付着するようになります。すると粥状のプラークができて粥状動脈硬化を引き起こし、進行すると血管の内腔が狭くなり、血流が滞るようになってしまいます。これが心臓の冠動脈で起こると狭心症の原因となります。

さらにプラークが破裂して中身が出てしまうと、そこに血の固まりである「血栓」が出来やすくなり、血管をふさいで血流を止めてしまう危険もあります。血栓が冠動脈に詰まると心筋に血液が届かず、心筋梗塞を引き起こし、脳の血管に詰まると脳梗塞や脳出血を発症させます。また手足に繋がる血管に血栓ができると、手足に痛みやしびれが現れ、最悪の場合組織が壊死してしまう閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)の原因ともなります。

治療

高脂血症(脂質異常症)の治療では、食習慣の見直しを基本とした生活習慣の改善が重要になります。動物性脂肪や乳脂肪の摂取を控え、食物繊維を多く含む食べ物や、不飽和脂肪酸(EPAやDHA)を多く含んだ青魚などを積極的に摂ることをお勧めします。

食習慣の見直し以外では、禁煙することが重要です。喫煙は善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールの酸化を促進して動脈硬化を引き起こしやすくしてしまいます。またストレスを感じた際に発せられるストレスホルモンがコレステロールを増やすと考えられていますので、睡眠をしっかりとるなど、なるべくストレスをためないことも大切です。一方、適度な運動は善玉コレステロールを増やす効果があり、中性脂肪を消費して増加抑制にもつながりますので、運動習慣をつけることが大切です。

生活習慣の見直しだけでは脂質異常が改善できず、動脈硬化が進行し、狭心症や脳梗塞など合併症発症の可能性がある、あるいは既に発症しているといった場合には、薬物療法を検討します。使用する薬としては、主にスタチン系薬(コレステロールを合成する酵素を阻害する働きがある)や、中性脂肪を低下させる薬、ほかにEPA・DHA製剤や漢方薬などがあります。

高尿酸血症(痛風)

高尿酸血症(痛憤)とは

高尿酸血症とは、血液中の尿酸の濃度(尿酸値)が、7.0mg/dlを超えて高い状態が続くものです。尿酸とは「プリン体」を分解した際に産出される老廃物です。プリン体とは核酸を構成する主成分で細胞の代謝や体を動かすエネルギーとして重要な物質です。高尿酸血症は痛風の原因となります。痛風は激しい痛みを伴う関節炎の症状が現れるもので、風に当たっても痛い、ということからこの名があると言われています。

また高尿酸血症は、男女比では9:1と、圧倒的に男性に多く発症します。これは女性ホルモンに腎臓から尿酸の排泄を促進する働きがあるためで、女性ホルモンの分泌が減少していく50歳以上では、男女差が縮まる傾向にあります。

原因

尿酸のもととなるプリン体はほとんどの生物の細胞内に存在しています。そのため、プリン体は多くの食品に含まれていますが、このプリン体を食事などによって過剰に摂取すると尿酸値が上昇します。他にも肥満によって中性脂肪が増えると、中性脂肪が尿酸の産生を促すことで、尿酸値が高くなります。また何らかの原因で腎臓の尿酸の排出機能が低下することでも尿酸値は上がってしまいます。このいずれか、もしくは複数が原因となって尿酸値が基準を超えると、高尿酸血症と診断されます。

症状

高尿酸血症自体に自覚症状はほとんどありませんが、「痛風発作」に至ると足の親指の付け根などを中心に激しい痛みが現れます。この発作は、水に溶けにくい尿酸が血液中で針状に結晶化し、それが関節などに蓄積して炎症反応が起こることで発症します。結晶は足の指の関節以外にも足の関節や足の甲、アキレス腱のつけ根、膝の関節、手の関節にも現れることがあります。

痛風発作は通常1~2日程度で痛みが和らぎ、1週間程度で症状が治まりますが、そのまま放置していると再発を繰り返し、関節が変形してしまう場合があります。そのほか高尿酸血症の状態が続くと、外耳の一部に痛風結節と呼ばれるものができることがあります。また尿路結石となって激痛を伴う発作を起こしたり、腎臓の機能が低下したりする場合もあります。進行して合併症を招かないためにも、尿酸値の異常を指摘されたら、お早めにご受診ください。

治療

高尿酸血症の治療では、まずプリン体を多く含む飲食物の摂取を控えることが基本となります。プリン体を多く含む食べ物として、鶏卵や魚卵、肉(特にレバー)、イワシやカツオなどの魚(干物、煮干し、鰹節も含む)などが挙げられます。

またビールには多くのプリン体が含まれていますが、ビール以外でもアルコール自体に尿酸値を上昇させる作用がありますので、プリン体ゼロと表示されている場合でも、アルコール全般に関して注意が必要です。飲み物で言うと、甘い飲み物に含まれている果糖は体内で分解される時に尿酸値を上げる作用があるとされており、ジュースや清涼飲料水の摂り過ぎにも気を付けるようにしましょう。

食事療法に加え、高尿酸血症では運動療法が有効です。有酸素運動、ストレッチなどによって肥満を解消することにより、尿酸値を下げることが期待できます。ただし強度が高い無酸素運動は、逆に尿酸値を急上昇させてしまいますので、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど医師の指示に従って軽い運動を行うようにしましょう。また脱水は、尿酸値を上昇させます。高尿酸血症の改善のためには、毎日2リットル以上の水分をとることが推奨されています。運動時はさらに多くの水分をこまめに補給する必要があります。

食事療法や運動療法で尿酸値が下がらず、痛風発作や尿管結石などを繰り返す場合は、尿酸降下薬の内服によって血液中の尿酸値をコントロールすることを検討します。発作の初期の段階であれば、痛風の腫れや痛みなどの炎症を抑えるコルヒチンという薬を用います。痛みが強いときは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用や場合によっては局所麻酔剤入ステロイド関節内注入という治療を行うこともあります。なお、痛風発作がみられている際は、尿酸降下薬を使用するとむしろ発作の痛みを悪化させるため、発作の症状が治まってから尿酸降下薬を使用あるいは使用の再開をするようにします。